【データと対話で拓く地域Well-Being】 デジタル庁指標活用ファシリテーターが語る、政策の実効性を高める5つの視点
第1回:「“幸福を測る”時代へ ― Well-Being指標とは何か」
2024年10月、デジタル庁は新たに「Well-Being指標活用方針」を公表しました。
そして、全国の自治体や企業における実装を支援する専門人材として、「Well-Being指標活用ファシリテーター」制度がスタート。このたび、私・善井靖もその一人として認定を受けました。
これからの地域経営や観光まちづくりに、この“幸福を測る”視点をどう生かしていけるか、ここから5回にわたって、私の具体的な実践と共に深く考えていきます。
目次
- 第1回:「“幸福を測る”時代へ ― Well-Being指標とは何か」
- ◆「豊かさ」から「幸福」へ:政策のパラダイムシフト
- ◆デジタル庁が示す「Well-Being指標」の構成
- ◆「データ」と「実感」をつなぐファシリテーターの役割
- ◆次回予告:数字のその先へ
◆「豊かさ」から「幸福」へ:政策のパラダイムシフト
日本の地域政策はこれまで、人口増加・税収・観光客数といった「量的成長」を追ってきました。
しかし、現場の実感は必ずしもそれに伴っていません。
「人が減っても、暮らしの質が上がっている町」や、「観光客が多くても、地域に疲弊感が残る町」が増えているのが現実です。
そこで登場したのが「Well-Being(ウェルビーイング)」という概念です。
これは単なる“幸福感”ではなく、健康・人間関係・学び・仕事・地域社会とのつながりといった、心身・社会・経済の総合的な満足度を表します。この「質の向上」に焦点を移すことが、持続可能な地域経営の鍵となります。
◆デジタル庁が示す「Well-Being指標」の構成
このパラダイムシフトをデータで支えるのが、デジタル庁のWell-Being指標です。
OECDの国際基準を踏まえつつ、日本人の価値観を反映した構成になっています。地域の強みと課題を客観的・主観的な両面から見える化します。
たとえば、指標は以下の6分野を軸に構成されています。
- 健康: 健康寿命・運動習慣率
- 経済: 家計の可処分所得・働きがい
- 社会関係: 地域イベント参加率・ボランティア率
- 主観的幸福感: 生活満足度・人生満足度
これらのデータを組み合わせて「地域の幸福スコア」を算出し、自治体やDMOが政策に反映できるようにするのが目的です。このデータによって、「どこが良く、どこが課題か」が明確になり、「限られたリソース(予算・人材)をどこに集中すべきか」の議論がスタートラインに立つことができます。
◆「データ」と「実感」をつなぐファシリテーターの役割
この取り組みの鍵は、単なるデータ分析に留まらず、住民や事業者の“実感”を行政の意思決定に反映するプロセスにあります。
- データ(Evidence): Well-Being指標が示す客観的な事実。
- ストーリー(Story): アンケートやワークショップなどを通じて、「あなたにとって幸せとは何か?」という問いを共有し、住民一人ひとりの感情や想いを汲み取ること。
データ(Evidence)とストーリー(Story)の両輪で地域を動かす——。
これが、私がこれから各地で実践していく「Well-Being経営支援」の中核です。私はファシリテーターとして、この**「数字」と「人の声」をつなぎ、政策という具体的な形に落とし込む**役割を担います。
◆次回予告:数字のその先へ
次回は、自治体政策におけるWell-Being指標の具体的な活用方法を詳しく掘り下げます。
キーワードは、従来のEBPM(エビデンスに基づく政策立案)から一歩進んだ、SBPM(ストーリーに基づく政策立案)への意識転換です。
データ(EBPM)で課題を特定し、人の感情(SBPM)から解決策を生み出す地域経営とは?その具体的なフレームと、私たちが提供する「政策デザインの仕組み」をお伝えします。
どうぞご期待ください。

<善井 靖 / well fmへのお問い合わせ>
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